財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

マクドナルドの収益性を分析②会計系の人間の売上分析の思考法

前回の続きです。
少し厳密な話をしたいので、前回からの話を振り返りたいと思います。

 

マクドナルドは飲食店ですので、売上の構成要素としては「顧客数×顧客単価」、「店舗当たりの売上高×店舗数」などに因数分解できます。
また、マクドナルドは直営店だけではなくフランチャイズ店もありますので「直営店の売上+フランチャイズの売上」という式も成立しますね。

 

このように様々な形で因数分解できる売上ですが、マクドナルドのHPから手に入れることができるデータで最もミクロな形のものが「1店舗当たりの売上高×店舗数」です。
マクドナルドは現在3000店舗近い店を出店していますが、その1店舗当たりの売上の合計がマクドナルド全体の売上となります。

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・売上の10年間の推移と要素の比較


この四角で囲んだの売上高を、10年間拾って図にしてみましょう。
まずマクドナルド全体の売上高

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これを直営店とFC店(フランチャイズ)に分解してみます。

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オレンジ色が直営店、青色がFCです。
さて、ここで新しい情報が手に入りました。
現在マクドナルドは売上高だけでいうとFC店の方が大きいようです
これはどういうことなのでしょう。


原因を特定するために各店舗の売上高を分解してみます。
先ほどの「1店舗当たりの売上高×店舗数」で分解できますので、そのグラフがこちら。

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これを見ると、FC店の売上の大きさは店舗数に比例しているようですね。
という事は、「1店舗当たりの売上」よりも「各店舗数」の方が売上に与える影響は大きいという事が言えます。マクドナルドの売上を上げるためのキーとなるものは「各店舗数」のようです。では、マクドナルドは今後店舗数を増やしていくことのみに注力すればいいのでしょうか。

その結論を出す前に、「1店舗当たりの売上高」を見てみましょう。1店舗当たりの売上自体は直営店の方が大きいようですね。
直近のデータでいいますと5000万円ほど売り上げに差がありますので無視できる大きさではありません。が、マクドナルドのHPにそれを分析できるデータはありませんので、これを推定してみます。
「売上=1顧客当たりの単価×顧客数」ですので、これを変形すると「顧客数=売上÷1顧客当たりの単価」とも言えます。私のざっくりした推定ですが、1人のお客さんの平均支払額が500円だとすると、顧客数=5000万÷500円=10万人なので、直営店はFC店に比べて10万人来客数が違います。これは1日に換算すると274人の違いです。
直営店とFC店は見た目にはほとんど同じですので、これだけ来客数が違うというのは、単純に直営店は集客力の高い、いい立地を抑えているという事が言えそうです。

 

・直営店の戦略を読み解く

 

これが正しければマクドナルドの直営店戦略も明らかになります。
直営店は、「利益の出やすい高効率な店舗のみを残していこう。」という事です。
売上の確実に見込める立地のいい店舗を残してその他から撤退すると何がいいのか。まずマクドナルドとしては「利益の残しやすい体質」になります。
といいますのも、直営店はとにかく経費が掛かる。
直営店は運営に人件費やその他もろもろの経費が掛かります。財務諸表上、それらの経費を示すのが「一般費および販売管理費」という項目ですが、これと直営店の店舗数を比べてみます。

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かなり正確に連動していますね。直営店はマクドナルドが人を雇う必要がある分、売上を上げるためにかかる費用も多額にかかってしまいます。
その為、費用をかけても十分リターンが見込める部分にのみ直営店を出しているのでしょう。

 

・売上だけでなく、利益まで見ることの重要性


その効果は売上ではなく利益の額となって現れます。

 

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売上よりも、明らかに当期純利益の伸びの方が大きいですね。
このように、ただ売上を上げるという施策のみでなく、費用を抑えるという視点を持つことによって最終的な利益に大きな影響を与えることができます。

お金を残す方法は2通りで、①収入を増やすか②支出を減らすかの2点です。
マクドナルドは、①の収入を増やす方法はFC店を増やしてロイヤリティー収入を増やす方法②の支出を減らす方法は直営店を徹底的にスリム化するという方法をとっているようです。
かなりマクドナルドの戦略が分かってきましたが、もう1点気になるところがあります。


それは、最初に確認した売上の図の直近の2年分。

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丸で囲んだ部分なのですが、店舗数に関係なく売り上げが上がっています。
これはマクドナルドの店舗数の増加以外の新たな戦略なのでしょうか。

次回はこの部分にフォーカスしてマクドナルドの戦略を読み解きたいと思います。