財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

社会人の為の決算書の使い方。比較して違いを見つけよう。~SB,au,DoCoMo編~

少し期間が空きましたが、更新ストップしている間にも多くの方に閲覧して頂いていてびっくりしました。ありがとうございます。これからも続けていきますのでどうかよろしくお願いいたします。

社会人の為の決算書の使い方、今回は通信会社を例に、比較して違いをあぶりだす方法について見ていきたいと思います。

 

なぜ通信会社なのかというと、単純に横並びのイメージも強いからです。

それもそのはず、我々が普段見る通信会社とは、3大キャリア(ドコモ、auソフトバンク)のどれをとっても基本的には規制産業という事もあり、同じようなサービスを提供しているように見えます。

 

しかし、決算書を読めば次第にその企業の差異が明らかになってきます。ビジネスマンにとっては、その差異はそのまま企業の特徴にもなり、企業の改善点や強みを明らかにすることもできるようになると思います。

 

それでは、さっそく見ていきたいと思います。

 

・ドコモ、auソフトバンクのBSを見ると企業としての歩みは全く違う。

 

今回は、まず企業のBS(バランスシート)を見ていきましょう。

バランスシートとは、ザックリ言いますとどこからお金を集めてきて、そのお金をどのように使っているのかを示す書類です。

お金を集める方法は大きく分けて①投資家から集める②銀行などから借りる③自分で儲ける。の3種類です。

例としてこちらはソフトバンクのBS。

 

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このように細かい数字が並んでいますが、

中央でこのように2つに分け

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その右側がお金の集め方

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左がお金の使い方を示しています。

 

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これを先ほどのソフトバンクのBSで見ますと、

お金を集めた方法は右側

 

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お金の使い方は左側です。

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これを一つ一つ見ていけば企業が何にお金を使っているのかはわかります。しかし、これを3社全てじっくり見ていくと時間がいくらあっても足りません。

そこで、私は大枠で分類して、そこから大きなお金が動いている部分をまず重点的にみるようにしています。

 

 

・ザックリみて、大きいところから数値を見てみると効果的。

ソフトバンクのBSを大枠で区切ると、「非流動負債」が非常に大きいように思います。

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この項目は、主に銀行から借りたり、社債を発行したりと、いわゆる他の人から借りた時に計上される数値です。自分で稼ぐお金に加えて、借りたお金を使うため、ここの数値を大きくして事業に投資することを「レバレッジをかける」という風に表現されることもあります。

ソフトバンクはもちろん、最近の企業でいうとライザップなどもここが大きい企業なように感じます。

 

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その内訳を抜き出しますと、お金を借りた内訳の76%が銀行からの借入になっています。

このソフトバンクの借入は通常の日本の大企業と比べて異色の金額になっています。

というのも、日本の会計の基本書などを読むと、基本的には安全性重視。

借り入れた金額以上に自分でお金を持っている「実質無借金経営」を是とする傾向が多くありました。

 

しかし、ソフトバンクはなんと保有する現金の3倍近い借入を行っています。これはそれが無謀だとかそういう話ではなく、「リスクとリターンは表裏一体で、ソフトバンクは徹底的にリスクを取ってリターンを追及している」という事だと思います。

 

これを確認するためにドコモとauのBSとも比較してみます。

 

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同じ通信会社でも、明らかにソフトバンクの異質性がお分かりいただけると思います。

というよりも、もはやソフトバンクは自社のことを通信会社とは認識していないでしょう。「通信事業もやる○○の会社」として自社を認識しているはずです。 

 

 

さて、この3社で最も割合が多い部分を見ていきたいと思います。ソフトバンクは「非流動負債」auは「有形固定資産」ドコモは「流動資産」ですね。

 

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ソフトバンクのものは先ほど確認した「レバレッジをかける」という特徴がかなり出ています。企業としてイケイケの企業だといっていいと思います。

ここで少し目立つのは、有形固定資産への投資の割合の少なさです。通信会社は多額の設備投資が必要になりますので、他2社が有形固定資産へ全体の30~40%ほどを投資しているのに対し、ソフトバンクは全体の12%程度にしか投資をしていません。

ただ、これはソフトバンクが通信設備に投資をしていないという事ではありません。むしろBS上、投資額は他の2社よりも多いくらいです。このBSを見ると、ソフトバンクレバレッジをかけて「借入を何に使ったのか」というヒントが見えてきます。

のれん、無形固定資産、金融資産にバランスよく投資していますね。つまり、ソフトバンクは通信設備の他にお金を投資しています。

これは、ソフトバンクは自社を通信会社と認識していない表れであるという事ができると思います。

 

次にauですが、有形固定資産の額が最も大きいですね。

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が、その他にもM&Aなどの数値を示す「のれん」や「無形固定資産」への投資も目立ちます。これは、通信設備への投資以外にも投資を行っていることの表れだと思います。のれんの内訳は有価証券報告書に載っていましたが、ジュピターテレコム、イオンホールディングス、ビッグローブウェブマネー等々。通信事業の周辺部分が多い印象があります。

 

最後にドコモ

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ドコモは現金保有が最も多く、その次に有形固定資産への投資を行っていることが分かります。そして、非流動負債、つまり銀行などからの長期の借入は非常に低いことが分かります。このようなBSを持つ企業は安定性が非常に高く、倒産の危険はまず無いといっていいのではないでしょうか。しかし反面として、リスクを取った投資もしていない為ここからドコモが急激に成長を遂げるという事も読み取りづらいのかなと思います。

どちらがいい悪いではなく、これは企業の性質の違いによるものといえるのではないでしょうか。

 

 

しかし、いずれにしてもauとドコモは自社を通信会社として認識し、auはそこから自社以外にもM&Aの力を借りて通信産業の周りの動向を抑えようとしているのに対して、ドコモは徹底的に通信産業に力を入れるという方針なのではないかと読み取れます。

 

 

このように、同じような業態だと思われる通信会社であっても、企業のBSを見てみると全く違った姿が浮かび上がってきます。最初に決算書を読むとっかかりがつかめない場合には、このようにBSを読んでいくのも新しい発見があって面白いと思います。

 

次は、この3社のユニットエコノミクスを分解して、「通信会社」として見た時の3社の比較をしてみたいと思います。