財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

株価のストップ安。TOKYO BASEは「ヤバい」のか?

株価が急激に下落してしまい、ストップ安にまでなってしまったTOKYOBASE。
財務的にみると、その原因はどこにあるのでしょうか。また、経営が傾くほどまずい状況なのでしょうか。

 


ちょうどいいタイミングで7/13、つまり1週間前に四半期決算の発表がなされています。四半期決算書は企業の直近3ヵ月の経営成績を示す為、1年間分の決算書では見逃してしまうようなリアルタイムの情報を得ることができます。

今回は、こちらの損益計算書(PL)を参考にしてみたいと思います。

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同じ表に2つの数字が並んでいますが、これは昨年との比較です。どこが大きく変化したのか見えること。そしてアパレル業界では春夏秋冬で販売アイテムが異なってくるので比較の対象にちょうど良いですね。

 

 

損益計算書分析

損益計算書を色分けして区分してみます。

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・①売上と販管費の関係をチェック

 まず「売上総利益」ですが、ここは昨年とほぼ変わりがありません。原価率もおおむね同程度になっています。売上に変動がない場合、売上にかかった費用である「販売費一般管理費」に注意をして見るようにします。そうすると、この売上の停滞が意図したものであるのかそうでないのかが分かります。

 

・②販管費をチェック

 

 販管費を見てみましょう。前回のPLでは11億1516万円だった販管費が、今年度は12億4360万円と、約1億3千万円近く増加しています。
販売管理費とは商品を売るための経費です。

 

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これに対して売上は1700万円の増加。1億3千万の販管費とくらべ、明らかに伸びが乏しい状態です。


売上が伸びていない一方、販管費が大きく伸びる。これは、売れると思って投資したのに思ったより売れなかった状態になっている可能性があるという事です。
この事が響いて、税引き後の純利益は前年と比べ30%近い落ち込みをみせています。

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・個人に置き換えてみると手取りの30%減

 これを私たちのような個人に置き換えると、手取りが昨年に比べて70%になってしまったという事を示しています。ちょっと想像したくない事態ですよね。この売上と販管費の関係、そして純利益などの下落が、株価の下落の大きな要因の一つになったのではないかと思います。

 

・なぜ販管費が増えているのか?

では、販管費はなぜ増えているのでしょうか。
TOKYOBASEの有価証券報告書等から分析すると、販管費には店舗の家賃や給与などが多く含まれています。

・①従業員数は?

  (有価証券報告書に記載)

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もう少し詳しく見ると、有価証券報告書の中に「従業員が大幅に増加した」との記載がみられます。集客の拡大に伴う定期及び期中採用により従業員が大幅に増加し、207人となったとあります。3か月前までは従業員数は160人(H30.2時点)でしたので、この3ヵ月で40人近く増えていることが分かります。


・②店舗数は?

 (有価証券報告書に記載)

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STUDIOUSが35店舗、UNITED TOKYOが16店舗、CITY店舗が4店舗、EC業態が2店舗の57店舗あるようですが、実店舗においては3か月前に比べるとSTUDIOUSの店舗が2店舗、UNITED TOKYOの店舗が3店舗増えているようです。ここも影響はありそうです。

 

 ・前年比で分析すると

 

販管費の差は約1億3千万、従業員数は+42人、店舗数+9店舗でした。ちなみに、従業員の平均給与は平均570万のようですので、42人×570万=2394万です。これを四半期にすると約600万。店舗は詳細は省きますが、前年と2年前の比で計算すると、1店舗あたり年間約2780万、四半期ですと695万のコストがかかります。


従業員の給与の伸び600万と店舗の賃料の伸び695万を合わせると1億2950万ですので、販管費の伸びは従業員の給与と家賃と言って間違いなさそうです。もちろん、新入社員の給与は平均給与よりは低いのでブレはあるとは思いますが、この2つが販管費の大幅な増加に関係はしてきそうです。

 

・TOKYO BASEは今まで右肩上がりの成長を続けてきたのか?

しかし、もうどうすることもできない危機的な状況かと問われれば、私は違うのではないのかなと思います。その根拠を見て頂くために、最後に少し過去の分析を行います。4半期決算ごと売上と販管費の累計と、前期比のグラフを見てみましょう。
累計はこちら。

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前期比のグラフはこちらです。

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これを見れば、過去にも売上が落ち込んだこと、売上の伸びに比べて販管費の伸びが大きかったことがあることが分かります。つまり、経営陣はこのような状況は経験してきているという事です。ただ、秋冬に強いブランドでもあるので、3Q4Qの成績が落ち込んだ時には黄色信号かもしれません。もちろん、このままV字回復できる!と断言する理由にはなりませんが、もうどうすることもできない危機的な状況という事はないのかなと思います。

 

 ・財務諸表で分析できる問題点は

 なので、財務上考えることがあるとしたら「これだけ従業員や店舗が増えていると、いったい売上はいくら増えていないといけなかったのか?」という事です。長くなってきましたので、この点については次回考えていきたいと思います。それでは、ありがとうございました。