財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

TOKYO BASEが成長し続けるためにはいくら売り上げが足りなかったの?

今期の四半期決算において、投資した店舗数や雇用した人に対して売上が見合わなかったTOKYO BASE。しかし、なぜ売上が上がらなかったのか?について考えたとしても、外部の人間には正確なことが分かるはずもありません。そこで今回は、「いったいいくら売れば投資した利益に見合った利益が出せたのか?」について考えていきたいと思います。

 

・費用を分解して考える。

今回やる分析は、損益分岐点分析を少し応用した内容となっています。損益分岐点分析とは、「〇〇円以上の売上を上げたら利益が出る」という数値を出すことができる分析です。

損益分岐点の分析のステップとしては、①現時点でかかる費用(人件費や家賃、ガソリン代など)を計算する。②その費用を「固定費」と「変動費に分ける。③それらを用いて損益分岐点を分析する。で計算できます。

少し専門的な内容ですが、固定費と変動費とは、「売上に対して固定か変動か」という事です。分解するとこのような感じです。

 

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何が固定費で何が変動費なのかは会社によって異なってきます。その会社にとって売上に連動していれば変動費、売上に関係なければ固定費です。

 

では、今回のTOKYOBASEの利益減少の要因となった家賃と給与などの人件費。これは固定費でしょうか。それとも変動費なのでしょうか。

 

家賃も人件費も売上が上がらなくても関係なく発生するため、固定費に分類されることが多いのですが、今回はエクセルの「回帰分析」という方法を使って固定費か変動費かの判断をしていきたいと思います。

 

回帰分析とは、2つの数値に関連性がある時に、それらの変数などを用いてy=ax+bという式で求めてしまおう。という分析手法です。これはエクセルで簡単に求めることができます。

今回は売上と地代家賃の回帰分析を行いますが、「売上と地代家賃に相関関係があるか」「y=ax+bの式のうち、aとbの数値は何か」を求める計算ですので、どのように回帰分析を行ったかに興味がない方は読み飛ばして頂いて結論だけ見て頂けると幸いです。

 

・売上と地代家賃の回帰分析のステップ

①エクセルで売上と、売上に関係しそうなデータを集める。(ir情報から集めることができます。)

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②エクセルのデータタブ→データ分析→回帰分析をクリック。売上をxとして、yに関係ありそうな数値を入れる。(今回は地代家賃)

 

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 OKを押すと、エクセルに別のシートが出てきます。数値が複数出てきますが、「売上と地代家賃に相関関係があるのか」についての回答は「重決定R2」、y=ax+bのaとbについては「係数」を見れば分かります。つまり、このシートで必要なデータは3つのみです。

 

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必要なデータは3つ

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「重決定R2」は、どの程度2つの数字に関連性があるのかを示します。この係数は、0.4以上で相関関係が認められるそうですが、今回は0.93。かなり高い相関関係が認められます。そして式は「地代=売上高×0.105029+93915.43」です。

回帰分析のやり方は大体これでOKかと思います。

 

 

・実際の分析

回帰分析の結果をまとめると、重決定R2が0.93とかなり高い関係が認められます。ちなみに、給与も回帰分析を行うと0.94と、これも非常に高い相関関係にあるといえます。

 

これは、支払地代、給与は売上に連動してかかる費用であるといえるという事です。このような種類の費用は「変動費」に分類されます。つまり、今までTOKYO BASEにとって給与と地代は、増やせば増やすほど売り上げが伸びていく要因となっていたという事です。

これ踏まえると、TOKYO BASEは「まだまだ店舗や販売員が足りない」と判断してもおかしくないような材料がそろっていたといえます。

ですので、多くの人を雇いどんどん出店を増やしていったTOKYO BASEの判断は理解できるものであったのではないかという事が出来ます。

では、その投資を行った際にどれだけの売上を上げればよかったのでしょうか。今回TOKYO BASEから発表された第一四半期有価証券報告書販管費からザックリ推定すると、地代家賃は4億2300万円です。今回回帰分析で求めた式は、変形を行えば売上を求める式に変更することも可能です。

 

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  これに当てはめると、今まで通りの成長をしていくために必要な売上の額が出てきます。

売上高=(423,000-93,915.43)/0.105029=3,133,273→31億3327万必要です。

では、実際の売上高はというと、29億3066万円。理想値との差には売上高2億261万円ほど開きがあります。TOKYO BASEは客単価を開示していませんが、第一四半期は3~5月という春の時期ですので軽衣料が多いことを考えると、どんなに高く見積もっても客単価は1万円を超えることはないのではないでしょうか。

 

・目標値である2億円を達成できるかどうか考える。

仮に客単価を1万円にしてみます。TOKYO BASEはアパレルブランドですので、売上は「顧客単価×売った服の数」になります。そこで売上である2億261万円を客単価1万円で割ると、20,261着。つまり今より2万261着販売しなければなりません。

3ヵ月あるので1日あたりでいうと今より約230着ですね。実店舗は43店舗あるので、実店舗換算すると、全店舗毎日+5着販売しなければならないことになります。

ここまで数値をかみ砕いていくとかなり目標数値との差が見えてきますね。

 

ただ、これが仮に客単価8000円だとすると、販売しなければならない服は2万5326着になり、全店舗6~7着積み増ししなければなりません。

 

TOKYOBASEの集客力次第でしょうが、単価が高くなればなるほど購入者数は減っていきますので、軽衣料が中心となる3月~5月でこれが達成可能だったのかは即答しづらいところかもしれません。ただ、秋冬になると販売量は増えるはずなので投資した分の成果が出るかもしれません。今後のTOKYO BASEについて注目していきたいところです。

 

以上、TOKYO BASEについて「投資した分の売上は達成可能だったのか?」について見てきました。少し細かい部分まで見ていきましたが、会計や決算書を使って細かく分解していけば、かなり身近な数字にまで落とし込むことができるという事をご理解いただければ嬉しいです。

 

それでは、ありがとうございました。