財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

ZOZOの利益率が急降下!その理由を分析してみた。

今回は、「ZOZOの利益が急下落した理由」「利益率が落ちたのはヤバい事なのか?」について書いています。

 

前期までの決算が絶好調だったZOZO。ゾゾタウン内でゾゾスーツを無料配布した自社ブランドの実績も組み込まれた決算書が公開されましたので確認していきたいと思います。

なお、今回確認する四半期決算書はZOZOの19/03期。つまり2018年の4~6月分の内容となっています。

 

 ・YoY(前年比)分析は変化の理由を教えてくれる

まずこの3か月分の企業の成績を調べてみると、今までのZOZOのパターンとかなり違うことが分かります。

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一言でいうと、営業利益と呼ばれる「利益率」が低下しています。なんと前年比マイナス26.4%です。その理由はなんでしょうか。それを分析するために、季節を含めて表を作ったのがこちらです。

 

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ZOZOは洋服を販売する企業ですので、季節によって売れる服は当然異なります。ですので、同じ季節を比較できるYoY(前年比)を確認すると企業が意図をもって取り組んだことが浮き彫りになってくるのです。

 

・YoYの分析で分かる例~ツケ払いで売上と販管費の前年比が急上昇

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例えばこれは2017年~2018年の商品取扱高と販管費の関係です。

 

2017年冬から販管費の伸びが急上昇していますが、これは「ツケ払い」や「送料200円固定」を始めたことが原因です。2018年冬以降もツケ払いなどは継続しているため、この前年比は一巡して落ち着いています。

 しかし、販管費と売上は基本的に連動していることがよくわかります。

 

しかし今期、その様相が様変わりします。

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ご覧いただけるとわかるように、販管費が売上の伸びを無視して異常に跳ねているのです。しかも、今期は商品取扱高のうち30%近くも販管費に使っています。

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このように急激に販管費が上昇するパターンというのは、基本的に「何かに投資をしたとき」です。

そこでこのような場合には、販管費がどのような原因で伸びたのか?について確認する必要があります。

 

 

販管費の明細を見ると、増加した要因が浮き彫りに。

では、販管費はどのような要因で増加してしまったのかを確認していきたいと思います。

ここも、何がどう変わったかを確認するためにYoYを確認していきます。

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前年に比べ、広告宣伝費が449%増!また、荷造り運賃とその他も増加しています。増加の原因となる部分を確認するとZOZOSUITの大量配布が原因と書かれていますね。

 

どうやらZOZOSUITの無料配布などの費用を全て広告費として計上しているようです。

その他についても、ZOZOSUIT1の清算と新型ZOZOSUITの製造報酬が計上されています。

 

 

ザックリの計算ですが、この3か月だけで人件費を抜いてもZOZOSUIT関連で40億近く計上されています。前年からの販管費の増加額は65億程度ですので、増加した分の約60%近くはZOZOSUIT等のPB事業が原因となります。

取扱高の伸びに比べて販管費の伸びが著しいことになっていたのはZOZOの新しく始めたPB事業の影響が大きいという事が分かりますね。

 

 

どうやら、ZOZOの本業で著しい失敗があったわけではなく、新しい事業を立ち上げるために使われた費用が計上されているという事です。このような投資は企業が成長していく為に必要な投資ですので、悪い費用ではないと思います。

が、ここからPB事業がどのように伸びていくのかは注視しておく必要があるでしょう。

 

また、この企業はとにかく現預金がカツカツです。その影響もあってか、財務をしっかりと使った面白い資金捻出の方法を行っています。

次回はそのあたりについて書いていければいいなと思います。

 

・最後におまけ

話の本筋から外れますが、仮に広告宣伝費がZOZOSUITに費用増加分だとすると、ZOZOSUITの製造コストも計算することが出来ます。

今期の広告宣伝費は15億4800万であるのに対し、前期は3億4500万です。この差である12億300万円がすべてZOZOSUITの制作費用とすると、7/31までに配布されたZOZOSUITは112万8333枚を割ったら一枚1066円となります。なんと、マーカータイプのZOZOSUITは1枚作る製作費は1000円ちょっとという事です。

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ゾゾタウンが世界中にZOZOSUITを配布できる理由が分かりますね。製造コストを下げる事が出来たため、大量に無料で配布したとしても耐えられるようになっているのです。これが前作の近未来的なZOZOSUITであればもっと製作コストは高いはずなので大量に配ることはできなかったでしょう。我々消費者からみるとあの近未来感が失われたのは少し残念ですが、納得のいく変更だという事もできそうです。

 

 

次回、このZOZOのPB事業はローンチして現在どのような状況になっているのか?について書き、その次にZOZOの財務戦略について書いていきたいと思います。