財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

ZOZOオリジナル商品の実績とこれからを考える。

・PBブランドはどうなっている?

ZOZOといえば今期はゾゾタウンで無料配布されている「ゾゾスーツ」の話が欠かせないでしょう。

このゾゾスーツで体型を測ることによって購入することが出来るPBブランド、その最初の成績はどのようなものだったのでしょうか。

 

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・まず当初の実績と中長期計画をチェック

まず当初実績と中長期計画をチェックしてみます。

 

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届いたゾゾスーツで60%の方が計測し、

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その中の50%の方が購入に至るようです。

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図にするとオレンジ色の部分の方が購入されているようですね。その実績は1人当たりの購入金額約7500円です。

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この発表が出た当初はカットソー(1500円)とストレートデニム(4900円)の2品でしたので、大体カットソー2枚とデニム1本というのが平均的な購入者の購買動向でした。

 

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この実績をそのまま当てはめた中長期計画が次の図になります。

今期(来年の3月まで)にZOZOSUITを1000万枚配布する。そして今期の売上225億という計画のようですが、1000万枚配って30%のお客さんが7500円分を購入すると225億になるという想定のようです。

 

しかし、今現在は上記2品の他にオクスフォードシャツ、ビジネススーツなど他の商品も増えてきています。そしてついに今期PB事業の実績が発表となりました。

 

・PB,今期の成績は?

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まず配布状況ですが、100万枚配布は達成したようです。

そしてPB事業の目玉の一つにもなったビジネススーツ、こちらは2万枚の受注があったようです。

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この数字が多いか少ないかは判断が分かれそうなところですが、もともとZOZOは男性の顧客の割合が30%程度です。その平均年齢は31.4歳。

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100万枚配布した中でこの比率が変わってないとすると、男性は約32万人。その中、大体仕事などでスーツを着られる方は日本人のうちの大体60%程度のようですので、100万枚配布した内でビジネススーツのターゲットになってくるのは大体19万人程度です。19万人がZOZOで売り出されたビジネススーツをみて2万着購入されているので、大体11%強、ターゲットの10人に一人くらいが購入に至っているのではないでしょうか。

 

サイズ感が命のビジネススーツにあって、試着が不可能なネットでの購入でこの購買割合だとすると、この数値はなかなかではないでしょうか。他の人の感想を見て購入を決めようとする方もいらっしゃるでしょうから、今後のビジネススーツの購入の伸びは実際のスーツが届いたお客様の声によっても変わってくるかもしれません。

 

PBブランド全体の話に戻ると、このような単価の高いビジネススーツが含まれているため、平均購入価格は上がっています。

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ここで少し気になるのが、当初は開示されていたCVR(届いたうち計測や購入した人の割合)が非開示になっている事です。届いても購入に至る方の割合は減少した可能性もあります。

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そのような状況の中、今期の売上実績は1.1億円となったようです。

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合計の売上目標は200億円と、当初のCVRを当てはめただけの計画より25億下げていますが、かなり挑戦的な数字であると言えるでしょう。実績の売上1.1億に加え、受注済みのビジネススーツがすべてキャンセルされずに売上となった際に計上される5.6億円はありますが、それを除くと残りは193.3億円。

単純に今期の平均購入金額9719円で割ると、193.3億÷9719円=198万8888人で、あと200万人弱近い顧客が必要です。

という事は、今期は1000万枚配布して200万人を顧客とする必要があります。これを達成する為にはどういったことが必要なのでしょうか。

 

・もっとも効果的なことは、計測のハードルを下げる事。

現状のままではこの数字を達成することは難しいのではないでしょうか。というのも、ZOZOSUITが発表になり「試してみたい!」と思える人でも全体の30%しか計測がなされていません。ところが今後は、そのように自ら欲しがっている人以外のところにも配布をしていく予定とのこと。

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これは旧型が発表となった際の前澤社長のツイートです。今後はこのツイートのようにコラボ企画などで配布したり、ZOZOで購入した商品に同梱して発送するとの事でしたが、このように配られる方は当然あまり自分でZOZOSUITを使って計測したい!という欲求を持っておられないでしょう。そもそも計測して自分のデータを見てみたい!と思っていても今の計測方法は若干面倒です。

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着用して、この姿勢で回転しながら12回撮影します。そして回り方がまずいと計測値に数センチのずれが出てしまいます。これを続ける作業は、自ら求めていない方が「ちょっと使ってみようかな?」と思うにはかなりハードルが高いのではないでしょうか。

 

ただ、ZOZOも恐らくそこはしっかりと認識していて、将来の展望についても少しだけ言及されています。

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そしてZOZOSUITを開発した時並みの設備投資も行う予定のようです。ホールガーメントなどのニットの設備投資などもあるでしょうが、ZOZOSUITの改良費用という事も十分考えられると思います。

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このように、将来はマーカーを必要せず、しかもスーツも必要ないかもしれないという展望を展開し、多額の設備投資も行っています。スーツなしで全身の数値を計測するというのはどのようなものなのか私には想像もつきませんが、いずれにしても計測するためのハードルを下げる為の施策は今後どんどん行われる事でしょう

 

 

 

私は、前澤社長はマーケティングの天才だと思っていますが、同時に非常に論理的な方ですので、日本を驚かすような仕掛けと計測率を上げるような仕組みづくりは並行して行ってくるような気がしてなりません。

  

今期中にZOZOSUITが進化し、計測する方が増えていく事によってこの200億の売上という目標は達成されるのでしょうか。どんどんと達成して「世界中をかっこよく、世界中を笑顔に」できる会社が日本からまた一つ現れるといいですね!

その第一歩として、このZOZOSUITの次の打ち手を想像しながら今後もZOZOの動向をチェックしていきたいと思います。

 

 

次回はZOZOの「財務の事をしっかり理解しているなあ」と思った財務調達の方法について書かせていただきます。