財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

ZOZOは多額の投資を惜しまない。でもそのお金ってどこから調達するの?

今回は、「ZOZOSUITに自社保有キャッシュの20%をつぎ込んでいる」「お金が必要なZOZOの取った、将来の資金調達の方法」について書いています。

 

ZOZOSUITを開発し、オーダースーツまで発表して世間を騒がせたZOZO。

ここの投資はめちゃくちゃ攻めの姿勢です。

 

ご自身が今、自身の持つお金の20%近くを将来稼ぐために投資することを想像してみてください。この投資はリスクがありますが、自分の中で勝算はあります。しかし、失敗すると今まで払ってきた多くのお金が無駄になります-

  

このような状況の中で、投資を決断できるでしょうか?

 しかも、これらの開発には多くの費用が掛かっています。そのお金をねん出するために、ZOZOは今期ある工夫を行いました。企業の意思決定の結果は決算に現れます。今回はその企業の意思決定の確認の仕方について見ていきたいと思います。

 

・ZOZOは多額の投資を惜しまない。

ゾゾタウンを運営する前澤社長の方針かと思いますが、ここはあまりキャッシュをため込まず、投資に回してしまう企業です。

ZOZOはキャッシュを245億しか保有していないにもかかわらず、前期の設備投資額はZOZOSUITを開発する為に45億近くの設備投資を。そして今期も40億近くの設備投資をする予定です。ザックリとですが、実に保有キャッシュの20%近くを将来の投資に回したという計算になります。

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ZOZOは非常に高いペースで売上を上げ続けているのでこの規模の投資をしても保有キャッシュは増え続けています。が、これはかなりの高額の投資だと言えるのではないでしょうか。逆に言うと、この投資額の高さから考えてもZOZOのオリジナル商品の力の入れ具合がうかがえますね。

 

 

他企業と比較すると、例えば投資を惜しまないGoogle。こちらはこの四半期に$5.5B(約5500億円)を投資していますが、保有キャッシュは$102.9B(約10兆2900億円)で、投資額は保有キャッシュの約5%です。この事からも、ZOZOのオリジナルアイテムの投資額の大きさがうかがえます。

 

 

・そんなに投資してヤバくないの?調達方法をBSで確認

このようにZOZOはオリジナルアイテムを作成する為に非常に多額の設備投資を行っていますが、その資金はあるのでしょうか。企業がお金をどのように集めたか。これを知る為のヒントもまた決算書に載っています。企業のBS(バランスシート)を見ていきましょう。

 

バランスシートとは、ザックリ言いますとどこからお金を集めてきて、そのお金をどのように使っているのかを示す書類です。

お金を集める方法は大きく分けて①投資家から集める②銀行などから借りる③自分で儲ける。の3種類です。

 

BSには細かい数字が並んでいますが、

中央でこのように2つに分け

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その右側がお金の集め方

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左がお金の使い方を示しています。

 

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そして今回確認したいのはこの右側の内容になります。

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これはさらに3つ分解することができます。

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このように、調達したお金は財務諸表によって色が付けられるのです。

この色付けを見ると、意思決定者の意図が分かるきっかけになる事も多いです。

 

今回見ていくのはこの「構成」です。銀行からの借り入れが多いのか、あるいは株主の払い込みが多いのか、自分で稼いだものが多いのか。この比率を見ることで、企業がどのよう意図をもって財務調達を行っているのかが分かるようになります。

 

 

・ZOZOの資金調達の構成比が大きく変化。

さっそくZOZOの構成比を見てみましょう。

 

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これは前期末の2018/3/31時点のデータです。資金調達、つまり右側に注目すると、純資産が58%あります。ZOZOはこの純資産の94%が「自分で稼いだ額」である繰越利益剰余金です。ZOZOは本業でとても儲かっている企業ということが出来ます。

 

ちなみに、このような構成は日本の上場企業ではよく見る光景で、企業の安全性が高く、潰れにくい企業の形といわれています。実際、上場企業の自己資本利率が40%を超えると倒産確率は劇的に減少します。しかし、企業経営においてリスクとリターンは一体のもの。「安全性が高い」とは裏を返すと「成長速度が低い」という可能性もあるのです。

 

安全性を重視して借入を抑えて純資産を厚くするのか。純資産の積み重ね以上に借入を行い、レバレッジをかけて設備投資を行い勝負に出るのか。この部分は経営者の性格や思考回路が出るところでもあります。

 

さて、上記のような構成だったZOZOですが、3ヶ月後の決算発表において、ZOZOの資金調達の構成に大きな変化が見られました。その割合がこちらになります。

 

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なんと純資産の割合が58%から22%まで落ち込み、逆に1年以内に返済する資金調達方法である流動負債が39%から74%に激増しています。

比較してみるとこのような形です。

 

 

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横に並べてみると違いがより実感できます。このような決断の背景には何があるのでしょうか。

 

実は、この決断の背景を財務諸表を使って読み解いていくと、ZOZOの優れた財務戦略も浮かび上がってくるのですが・・・

長くなりますのでこの続きはまた次回に。