財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

財務を理解した資金繰とは??ZOZOの意外なキャッシュ調達方法

今回は、

「ゾゾタウンの自社株買いによるという施策一つで、年間1億近いキャッシュを浮かせた方法」について書いています。

 

・財務諸表の見方~負債と純資産は資金の調達方法を示す

 

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(資金調達方法の構成比の変化)

こちらは、ゾゾタウンの資金調達方法の構成比。純資産が大幅に減少し、銀行から1年以内に返済を求められる流動負債の割合が大幅に増えています。

 

決算書の右側には、

「負債は銀行から借り入れたお金の調達方法で、純資産はそれ以外のすべてのお金の調達方法」が記されています。

 

ちなみに、通常上場企業がこのような行動をとることはなかなかありません。企業は純資産の比率を上げることで、企業の財務的安全性を担保することが出来ると言われているからです。大企業はこの純資産の比率が60%~70%近くになるところも目立ちます。

ところが、今期ZOZOはその純資産の比率を大幅に下げて22%にまで下げてしまっているのです。

 

・純資産が大きく下がった原因は自社株買い

 この比率が動いた大きな原因は約240億円の自社株買いです。

実際の2つのバランスシートの変化を見て頂きましょう。比較をすることで、3か月間のおカネの動きが分かるようになります。

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矢印のように、3か月の間で「自己株式」という項目が増えていることが分かります。

「自己株式」とは、企業が自社の株を買い戻したものを言います。今回は3億1164万4285株のうち634万9100株を買い戻したようです。

 

この自己株買いの原資は銀行からの借り入れです。

 

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この図の通り、資金調達の構成方法が変化した大きな要因は、この自己株買いにありました。では、ゾゾタウンがこのような多額の借り入れを行って自社株買いをする理由はどこにあるのでしょうか。私は、ZOZOが自社の資金繰りを改善するためにこのような取り組みを行ったのではないか?と思っています。

 

・ZOZOはいつもお金がカツカツ?

ZOZOの決算書を数期分読んで抱いた印象なのですが、ZOZOは「資金繰りがかなりタイト」「借り入れはできる限りしない」というイメージです。

例えば、この四半期の支払いを全て済ませた時点でのZOZOの手元キャッシュは177億9千万円ですが、同じ四半期で払った販管費は183億7600万円。これはかなりギリギリの運用です。

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更に前期はZOZOSUIT開発の為に今までにないほどの投資(約45億円)を行い、今期も40億近い投資を行おうとしているところです。

 

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販管費の支払いでもかなりタイトなのに、ZOZOSUITでさらに大きな投資が必要になっています。

ZOZOは本業でお金を稼ぐ力が十分にあるとは言え、この大きな投資は、ただでさえタイトな資金繰りを、更にタイトする要因になったのかもしれません。

では、自社株買いをすると資金繰りはなぜ改善するのでしょうか。

 

・自社株買いを行うと、「配当」を少なくすることが出来る。

会計上、お金はどこから資金を調達するかによって名称が変わります。投資家から投資してもらうと、純資産に。銀行からお金を借りると借入金になります。一見すると大きく違うように見えるのですが、結局のところ、使わせてもらっているお金に対して何かお返しをしなければならないことには変わりがありません。

 

そのお返しの多くは現金で、株主に対しては「配当」として、銀行に対しては「金利」として支払われています。

単純に、同じお金を借りるときに、「配当」より「金利」の方の支払いが少ないのであればその分お金が浮いてきます。

 

金利と配当を比較してみた

 

では金利から見ていきましょう。240億の借り入れに対し、ZOZOがこの四半期で支払った金利は2300万円。ザックリ計算ですが、金利は0.3%しかありません。この借入金はどんどん返済が進むでしょうから、その分だけ今後支払う金利も少なくなってくるはずです。仮に四半期ごとに均等に返済するとすると、トータルで4500万の金利の支払いになります。

 

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これに対し、6月26日に行われたZOZOの株主総会で行われた配当については、1株あたり17円。今回買い戻した634万9100株分なので、この分で支払いが減った配当は1億793満700円。中間配当は12円なので、トータルすると1億8412万3900円にもなります。

 

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仮の計算ですが、その支払いトータルの差は、実に1億3912万3900円にもなります。同じ240億円の調達でも、調達方法でZOZOが支払わなくてはならない金額に大きな差が出てくることがお分かりになるかと思います。

 

あくまで概算ですが、ZOZOにとっては、この調達方法を変えることでなんと1億円近くのキャッシュの節約(1億3912万3900円→4500万)をすることができそうです。

 

以上、ZOZOが自社株買いを行う理由について考察しました。

企業の問題になりそうな部分を見ていくとこのような結果が出てくるので面白いですね。

ZOZOの行動は一つ一つにしっかりと意味があるという事がよくわかりました。

今後のZOZOはどうなるのか、期待しながら次の決算を待ちたいと思います。