LINEから見る現代のIT企業のトレンドとは?

LINEのコア事業は広告業ですが、どうやらもっと先を見据えているようです。今回は決算書からそれをどのように見ていくのか、について書かせていただきたいなと思います。

その方法は端的に言うと、『企業はどこにお金を使っているのか?』という所を見ていくという事と、『横比較をしていく』という事です。

 今回は、LINEを通してIT企業の経営面のトレンドについて見ていきたいと思います。

・LINEの戦略事業とは?

直近のLINEの四半期決算を見ていきましょう。LINEのコア事業は「広告業」とオンラインゲームなどの「コンテンツ業」で、2つ合わせて前年比20%近い伸びを示しています。

 

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ただし、左の図のコア事業は売上が446億円と伸びてはいますが、営業利益率が前年比21.0%⇒16.1%と減少しています。この原因としては、スマホの課金の際に行われる決算手数料やクリエイターズスタンプの作者等に対するロイヤリティの支払い、事業拡大に伴う従業員の増加などがあげられています。これらは事業に必要なもの。という事は、コア事業はまだまだ伸びてはいるものの、かけてる費用の伸びほどは売り上げが伸びないような段階に入りつつある可能性があるという事ができます。コア事業がこの段階に入りつつある前に必要なのが新規事業です。

決算書を見ると、実はLINEには、コア事業の他に戦略事業と呼ばれる部門があります。

ここは売上以上に赤字が出ている、「営業損失」の状態なのですが、この決算書の状態こそ、企業が今後育てようとしている事業を見分ける際の指標になります。

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戦略事業の決算を見ると、売上が四半期で60億円、前年比41.6%と成長している一方、営業利益は69億円と大きな赤字を出しています。このように、成長させようとする事業には、売上が上がってこない段階でも大きな投資が必要になってきます。事業を拡大させようとする段階では大規模な投資が必要不可欠だという事です。LINEも、戦略事業の名の通り大規模な投資を行っているという事が出来ます。

 

では、この戦略事業、中身は一体どのようなモノとなっているでしょう。

 

  • 戦略事業にみる、LINEの目指している方向性

LINEの戦略事業を具体的に見ていきましょう。

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このスライドにあるように、まず戦略事業として挙げられているものは「LINEショッピング」「LINEデリマ」「LINEトラベル」の3つ。LINEデリマとは出前形式のデリバリーサービスです。QoQ(3カ月前との比較)では+14.8%と+7.4%の伸びと、激しくスケールしているわけではありません。今後どうなるかは、これからのサービスの質と認知度変化していくかにかかってくると思います。

LINEのこれらのサービスは買い物し、食事をし、旅行の計画を立てる際には最安値を検索してくれるようにする。

コア事業にメッセージアプリやインターネットゲームなどのコンテンツがあることを考えてみても、LINEは「日本人の大部分が使っているラインというアプリを通して、生活に必要な部分の大部分をラインで完結させようとしている」ことがよくわかります。

 

そして、LINのような企業がこの方向性に向かおうとする時、絶対に抑えておかなければならないポイントがあるのですが…。

 

それを感覚的に理解する為に、一つの企業のビジネスモデルをご覧いただきたいと思います。

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その企業はテンセント。今やアメリカを超えるビジネスの中心地になりつつある中国で、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセントの頭文字を取ったもの)と呼ばれる3大企業の一つです。

そのテンセントの主力事業はWeChatと呼ばれるメッセンジャーアプリ。そして、それに付随する様々なサービスが提供されています。

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上記の図はテンセントのビジネスモデルなのですが、メッセンジャーアプリの他には上の歯車から「オンラインゲーム」「ニュースや音楽などのメディア」「Fintechのモバイル上の支払い」「自社ブラウザ」など。しかもこれを「♯1」のマークがあるように、ほとんどの分野でナンバー1を取っているメガ企業です。

 

そして、次の図がこのビジネスモデルをさらに強力にしている根幹だと言えるでしょう。

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このように、様々な分野で提供しているサービスの決算を、全て自社の決算システムで抑えてしまっています。テンセントは販売、月間利用できるサービス、広告事業を全て押さえ、最後の決済まで自社のサービスで完結させてしまっています。大きくなる企業はこのような部分をしっかりと抑えており、しかもサービスのコンテンツがよいからより大きくなるという事なのでしょう。

 

・テンセントをモデルケースにした場合のLINEの今後とは?

転じてLINEに戻ってきます。LINEもIT企業であり、自社のサービスで生活が完結できるように動いています。という事は、狙っていくのは間違いなく決済システムだという事が出来ます。それは、最近CM等でもよく見かけるLINE Payです。

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先ほどの背景を踏まえてこの施策を見てみると、LINEがなぜ「10円ピンポン」というキャンペーンや今最も旬のグループを使ってCMを打っているのかが理解できるようになってきます。

LINEにとって、決済システムは今後の自社の将来を左右するほど重要なものなのでしょう。

実際にその施策以来利用率も急増しています。

 

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また、このように急速に利用率を増やそうとしている後ろ側には、政府のキャッシュレス化を推し進めたいという施策と、それに伴ってAmazonSoftBank楽天やメルカリなどもこの決済手段を抑えようと参入してくる「QRコード合戦」が起こっているという事があるようです。

 

この中でLINEは生き残るために、QRコードを読み取れる機会を94,000箇所設置したり、店舗側に導入する際の導入コストを0円にしたりしています。さらには決算手数料を3年無料にしたりと、店舗でもLINE Payを利用して決済できるように様々な施策を打ってきています。

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LINEは決算業を抑えるためにはライバルであるAmazonなどとも戦わなければなりません。しかし、ここで勝ち残った場合、LINEは第2次の成長ラインに乗れるのではないでしょうか。日本の中でテンセントになれるのでしょうか。今後も注目していきたいと思います。