財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

イメージの湧かない企業の財務諸表分析方法 DeNAの決算書でやってみた。

今回はどんな事業をやっているのかあまり想像がつかない企業の財務諸表の分析の方法をお伝えします。分析する企業は今回はShowroomの母体になっているDeNA。さっそく決算書を見てみましょう。
 f:id:parrrrrao:20181029153545j:plain
筆者のDeNAに対するイメージはアプリのゲーム会社だという程度の認識です。このように漠然としたイメージしかない場合に、どのように財務諸表分析を進めていくのかという視点で書いていきたいと思います。

・企業が成長しているのか?売上と原価の関係を分析

まず最も簡単な分析方法は、売上が成長しているのかどうかです。私は通常、3~5年程度の年度を比較し分析します。さっそく、DeNAの売上をグラフにしてみましょう。
 

f:id:parrrrrao:20181029153717p:plain


DeNAは2013年から売上が減少しています。2015年~2018年はほぼ横ばいのようです。この場合には売上に必要な原価を見ます。というのも、売上が下がっていてもそれと共に原価が減少しているのであれば利益は保たれるからです。売上と原価の関係を見てみましょう。
 

f:id:parrrrrao:20181029153754p:plain


これを見ると、売上は減っているにもかかわらず、原価はあまり減っていません。売上と原価が関連していないように見えますが、どういった理由なのでしょうか。
詳細を確認してみましょう。

 

・メインはやはりゲーム事業


f:id:parrrrrao:20181029154004p:plain

売上の内訳はゲーム事業が980億円、EC(オークションサイトや決算代行サービス)が161億円、スポーツは169億円、新規事業で94億円のようです。やはりゲーム事業が多く、全体の70%近い売上を占めています。
次に、この売上の原価の内訳を見てみましょう。
 

f:id:parrrrrao:20181029154036p:plain


人件費が38億円、減価償却費が95億円、業務委託費124億円、支払手数料228億円、その他の支払いが91億円です。支払手数料はゲーム事業関連の費用のようで、ゲーム事業の売上と連動していました。


・支払手数料はゲーム事業に連動 

f:id:parrrrrao:20181029154132p:plain


このように、原価の中で最も大きい額を占める支払手数料は売上の中で最も大きい額を占めるゲーム事業の売上と連動していました。
ここで出てくる疑問は、「なぜ売上の減少に比例して原価も下がっていかないのか」という事。ゲーム事業の売上の20%を支払手数料として支払っているのであれば、売上の減少に比例して原価は下がっていくはずです。
 

f:id:parrrrrao:20181029154203p:plain

 

・原価が変化しない理由を分析 

この理由を調べてみましょう。
(売上内訳)

f:id:parrrrrao:20181029154248p:plain


(原価内訳)

f:id:parrrrrao:20181029154315p:plain


この表は筆者が開示情報を基に作成した売上と原価の内訳です。
売上のゲーム事業を見ると1560億円→980億円と、2013年と比べて売上が大きく減少していることが分かります。同時に、支払手数料も332億円→228億円と同様に大きく減少しています。
 

f:id:parrrrrao:20181029154401p:plain


ゲーム事業の売上が大きく落ちることによって支払手数料は減少しているのに原価のトータルに大きな変化がない-ということは、どういう事なのでしょうか。
原価の対2013年比率を見てみましょう。
 

f:id:parrrrrao:20181029154432p:plain


売上と同じように原価も対2013年比で成長率を見てみると、減価償却費とその他の費用が大きく伸びていることが分かります。

 

減価償却費から連動しない理由が分かる 

減価償却費は有価証券報告書の中に内訳が記載されていました。減価償却費は企業が購入した長期的に使用する資産を、1年で一気に費用にせずに使う年数分だけ時間をかけて費用にしていくというもの。
ゲームを開発する際のサーバー費用なども計上されるでしょうし、スポーツ事業であればスタジアム建設費などがこちらに計上されます。つまり、減価償却費がどちらに多額に計上されているかによって、どちらの事業に力を入れているのかの推測が立ちます。
それをグラフ化したものがこちらです。
 

f:id:parrrrrao:20181029154514p:plain


ゲーム事業の減価償却が圧倒的に多いですね。
 

f:id:parrrrrao:20181029154543p:plain


このように、2017年と比べてもゲーム事業の減価償却費が圧倒的に多いです。DeNAは、減少するゲーム事業の再生の為に多額の投資を行っていることが分かります。

これで売上が減少しているにも関わらず原価が変わらない理由が分かりました。DeNAは、ヒットする新しいゲームを生み出そうと投資をしているものの、まだ売上を大幅に回復する事業を生み出すことができていないという事ではないでしょうか。
 

f:id:parrrrrao:20181029154613p:plain

このような大苦戦といえるゲーム事業の中、DeNAではどのような事業が今伸びていっているのでしょうか。事業の成長率を見てみましょう。

 

・伸びているのはスポーツ事業と新規事業

f:id:parrrrrao:20181029154738p:plain

 

この表は2013年の売上を基準として、どの程度成長したのか?というグラフです。ゲーム事業は2013年から半分近くに減少しているのに対し、スポーツ事業、新規事業と呼ばれる事業が大きく成長しています。

 

スポーツ事業はベイスターズ。新規事業はShowroomなどが代表的な事業です。

f:id:parrrrrao:20181029154649j:plain


 (出典:http://spjob.jp/company-list/%E7%90%83%E5%9B%A3%E3%83%AD%E3%82%B4_DB.jpg
 

f:id:parrrrrao:20181029154701j:plain


(出典:http://showroom.co.jp/
この2つの事業は、売上の総額こそゲーム事業には遠く及ばないものの、成長率という意味においてはこの二つが大きな存在感を見せています。

 

DeNAは減少するゲーム事業の売上に歯止めをかけるために投資を行いつつも、スポーツ事業であるベイスターズの観客動員の上昇やShowroomなどの新規事業が成長中。そのような状況にあると言ってもいいのではないでしょうか。

 

今回はDeNAの売上と売上原価の2つを用いてDeNAの現在地点を分析してみました。売上と原価の関係だけでもこのように色々なことが分かるという事を知っていただけると嬉しいです。それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!