財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

DeNAの財務諸表を使ってROE分析~調達投資回収のどの部門で改善が必要か?

投資家はROEを重要視するとよく言われます。が、ROEって何なのか?ROEはなぜ株主から重要視されるのか?は意外と知られていません。今回はDeNAの財務諸表を使って経営成績を把握する方法として、ROEについて書いてみたいと思います。

 

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ROEが重要な理由。それは、「この企業に投資したらしっかりとリターンを上げてくれるかどうか」「投資に見合った利益を出してくれるのか?」を測る指標でもあるからです。つまり、この指標は企業の経営体質を覗くことができる指標でもあるのです。

 

ROEの計算式

 ROEの計算式をまずご覧いただきましょう。

ROE=税引き後利益÷株主資本

これだけ。とても簡単です。利益(税金を引いた後の利益です)を株主資本(株主が投資した金額)を割っただけの指標です。DeNAROEを計算してみましょう。

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3年分計算してみましたが、9%、14%、6%という計算が出てきました。これだけを見ても、ざっくりとですが「株主が会社にお金を入れると、1年でその何%稼いできてくれる」という事が分かります。2018年の率でいうと、1万円投下すると1年で900円稼いでくれるという事。11年目には投下した資本を超えてリターンを得ることができます。

 

このようにその%を読むだけでも投資家にとっては便利な指標なのですが、実は分解することによって更に便利な指標に変えることができます。

 

ROEは分解するとその威力が発揮する

 

 ROEを分解すると一体どのようなことが分かるのでしょうか。

結論からいうと、会社がどういう過程で利益を上げたのか?が分かるようになる指標がROEという事になります。

 

会社の経済活動は「調達→投資→回収」という流れだと言われています。ROEは、この全てのステップを数値化できる指標として非常に便利なのです。

 

こちらがその分解後のROEの計算式です。f:id:parrrrrao:20181031102619p:plain

ROEは、要は、「調達→投資→回収」の流れを表しています。どうやって調達し、そのお金でどうやって売上をあげ、どうやって利益として残すか?このステップを全部示しているという事です。

 

「お金の調達=ギアリング比率」→「そのお金で売上を上げる=総資本回転率」→「売上から利益が残る=利益率」なのです。

なので、ROEが上がった際に、分解できる技術を持っていると「どの要素が上がったのか?」と考えながらその数値を見ることができます。

 

・実際にやってみましょう 

では、DeNAの財務諸表からデータを抜き出してROEを把握してみましょう。

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上の表はDeNAのBSとPLです。ここから、「調達→投資→回収」の順、①ギアリング比率②総資本回転率③利益率の順番に見ていきます。

 

①ギアリング比率

まずギアリング比率は、BS(貸借対照表)の右側の固定負債と純資産の比率です。

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これがギアリング比率です。95.0%となっています。

計算方法はこちら

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銀行などからの借り入れが非常に少なく、経営の安全度がかなり高い財務体質という事です。

総資本回転率 

総資本回転率は先ほどの固定負債と純資産で集めた資金を使って、どの程度の売上を上げているかを見ることができます。

総資本回転率は0.488調達した資金の半分の売上です。

 

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③利益率 

税引き後の利益率を使いますので、売上を上げた後に手元に残る額は全体の17%という事になります。

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見るべきポイントさえわかっていれば、このようにピンポイントで数値を抜き出せばROEは計算することができます。所要時間は5分程度です。

 

④計算

では、この数値を当てはめてみましょう。f:id:parrrrrao:20181031102836p:plain

 

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ROEは9%となりました。最初に計算した数値と一致することを確認してみます。

 

 

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9%なので一致していますね。

 

・変動した理由を分析

ROEの3年分をグラフにするとこのような感じです。

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では、3年分のギアリング比率、総資本回転率、利益率を見てみましょう。

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この3つの要因を見ると、今年度のROEの減少の要因はすべての比率が前年度に比べて下がっているからといえそうです。

 

他人資本を増やしたのに売上が上がらず、利益率も伸びなかったという事。少し苦しい状態であるという事ができるかもしれません。ちなみに、2017年の利益率が上昇しているのは法人税法の還付があるからで、事業自体が活性化したというたぐいのものではありません。

 

ここからわかる範囲内でいえば、総資本回転率が年々減少している事が気にかかります。資金調達が売上に反映できていない部分をどうするのかがDeNAの課題なのではないでしょうか。

 

このように、ROEは企業経営の内側を少しだけ覗くことができる指標としても使う事ができます。気になる企業で試してみてくださいね