財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

ソフトバンクは財務諸表が全然違う。「通信会社」と「持ち株会社」のBSの違いとは?

 

ソフトバンクの決算が発表になりましたが、決算はすこぶる好調のようです。が、この会社は色々な事業に出資しているので、もはや決算書を眺めるだけではどんな会社なのかほぼ分かりません(笑)

 

とは言え日本を代表する企業の決算なので、まず全体を見て、そこから別記事で各事業の成績を見ていきたいと思います。

 

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 (https://www.softbank.jp/sbnews/

まずソフトバンクのSoftBank2.0の文字。ソフトバンクは通信事業から「戦略的持ち株会社」への変貌を宣言しています。

 

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ここら辺はソフトバンクと他の通信会社の財務諸表を読めば一発で理解できます。ほんとに全然違いますので。

・BS(貸借対照表)を見ると全然違う

 

こちらは2018年末時点でのソフトバンクのBS。

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ボックスが2つ並んでいますが、右側が資金をどのように調達しているか。左がその資金を何に使っているのかを示しています。

 

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通信会社なのか?戦略的持ち株会社なのか?を見るときには、左側の資金を何に投資しているか?を見れば一目瞭然です。

・左側は資産の投資先を示す

 

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ソフトバンクは有形固定資産の他に「のれん」や「金融資産」も多額に保有しています。

これを、他の通信会社と比較してみましょう。

 

KDDIの場合

 

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DoCoMoの場合

 

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KDDIDoCoMoともに左側の資産運用を見ると、「有権固定資産」が全資産の35~40%近い数字を示しています。通信会社は通信の為の電波など、設備投資を多額に行わなければなりませんので、通常この「有形固定資産」が全資産の中で大きな割合を占めます。

 

 有形固定資産が占める割合はたったの12%

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ソフトバンクは違います。KDDIDoCoMoよりも多額の有形固定資産を計上しているにもかかわらず、その割合は全体の12%しかありません。

他ののれんや無形固定資産に多額の投資が行われています。詳細も出ているので確認してみます。

 

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これだけ多いと数字の羅列に見えますね(笑)

この中で、確実に日本のソフトバンクの通信事業と関係がないものを抜き出すだけでもすごい額になります。

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この色付けされたものだけで13,127,905,000,000円。13兆1279億5百万円です。これは全体の42%に相当する額で、ソフトバンクはBSを見るだけでも通信事業に関係のない資産が42%あるということになります。いい悪いではなく、これは明らかに通信会社とは言えないでしょう。

(余談:このBSは他の通信会社との期間を合わせるために2018年末のBSで表示しています。)

 

 

せっかくですので、最新の財務諸表も確認しておきましょう。

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…6カ月で総資産が2兆円増えてますね(笑)

 

ほんとあり得ないレベルですが、これが世界トップクラスの企業のスピード感なのでしょう。こんな企業が日本にあるとは本当にすごい。

 

増加の原因は金融資産。というより半分がSVFの株の購入の増加です。

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これは資産の総額なのですが、SVFの資産が1兆円近く増えています。ちなみに、投資の為には現金が必要ですが、どこから調達してきたのか?

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これが借金なんですよねええええ

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1.7兆円調達しています。 

このように、ソフトバンクはさっさと資金調達をして投資をし、その投資を利用にシナジー効果を発揮しながら成長を続けていくというストーリーを描いています。

ここら辺にソフトバンクのすごみを感じますね。

 

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 近年は日本においても「自社で事業を起こして成長させる→MAを経て創出されるキャッシュを増やす」という流れに切り替わっていましたが、ソフトバンクはMAを行うという事をせずに世界中のNo1企業とMAより緩いつながりを通して新規事業を創出するという発想を行っています。そう意味では一歩進んだ戦略なのでしょうね。

 

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この形態はとにかく事業を立ち上げるスピードが速い。

LINEやメルカリが参入しようとしている決算業にも参入していますし、

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ソフトバンクとヤフーの決済サービス「PayPay」の強みとは? 中山社長が語る - ITmedia Mobile

(ちなみに、この決算業の技術には群戦略企業の一つであるインドの決済プラットフォームPaytmの技術を導入するそう。スケールがデカすぎです。)

 

トヨタと提携をしたのも記憶に新しい所です。

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今回発表されている資料を見るだけでも、これだけの投資や協業を行っています。

 

しかし子会社になっている分野は非常に少ない。SVFがらみの案件が非常に多いのが見て取れます。

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ソフトバンクはこのように、新たな協業の形態を作ってソフトバンクや協業する企業のキャッシュを最大化させる取り組みを本格加速させているのではないでしょうか。

ソフトバンクのBSはめちゃくちゃ複雑なのでどないなってんねん状態ですが…めちゃくちゃ大枠で見ると現在このような動きをしています。

 

スライド一枚目の群戦略だけで字数が相当増えてきてしまいました。(笑)

 

今回の記事は、最後に今期のPLの鬼門、SVFだけコメントして終わります。

・PLはSVFの利益の計上の仕方に注意

 

この半年分の売上は4兆6539億円で前年に比べて2500億ほど増加。しかし営業利益が1兆4207億円で前年に比べて5459億円増加しています。

 

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売上以上に利益が増えるのは通常あり得ないことなのですが(笑)これによってソフトバンクの財務諸表は一気に意味が分からなくなるんですよね。

実際はこの営業利益はSVFの保有株式の価格上昇などの影響が大きいようです。

このSFVの利益、決算書にもこの額で計上されているんですが、このように計上されたらこの利益がソフトバンクの利益なんだろって思いませんか?(筆者はガッツリそう思っていました。)

 

実は違うんですよね。

 

これはSVF全体で創った利益。ソフトバンクは出資者の一人という位置づけなので、この創った利益から出資額に応じて受け取るという事になるはずです。(決算短信から拾ってきたら、ソフトバンクは全体の30%の出資額だったので実際のソフトバンクの取り分は全体の30%です。)

 

このように財務諸表一つ読むだけでめちゃくちゃ骨が折れるソフトバンク。少しづつ下記進めていきますので、お付き合いいただけると幸いです。