財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

ソフトバンクの財務諸表。ソフトバンク・ビジョン・ファンドと会計ルールの使いこなし方がすごすぎる。

今回はソフトバンクの上期の成績を見ていきたいと思います。
まず初めに。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)ヤバすぎるでしょう。あとIFRSのルールを上手に使いすぎ。

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(出典:https://www.softbank.jp/sbnews/

何はともあれ全体像を見ていきたいと思います。
 

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まず売上は前年比で6%増。内訳はスプリントが40%、ヤフーが10%、ソフトバンクが38%その他が12%という構造です。スプリントの売上が一番大きいんですね。
 

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続いて営業利益。SVF、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの営業利益が6324億円。半年で6324億円ですよ?投資をするときにはSVFの投資している株にそのまま投資した来院じゃないかと思ってしまいます(笑)投資先も開示してくれていますしね。
(非上場株も多いですが。)
 

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ちょっと話がわき道にそれましたが、このSVFはソフトバンクだけでなく外部の投資家も参画しています。この営業利益って、全体の投資の中のソフトバンクの取り分だと思いませんか?



実は違うんですよね。

SVFは、3つの会社でなりたっているのですが、その会社はソフトバンクの子会社
 

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このような状況の時って、会計のルールではSVFが投資して増えた利益は一度全額ソフトバンクに計上され、その後外部の投資家に分配されます。
これはソフトバンクが作成してくれている図を見ると分かりやすいです。(とはいってもごちゃごちゃしていますが)
 

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投資した企業の株価が上昇したことによって生じた益から、ファンドの運営費を引いた層が全てSVFからの営業利益になっています。

 

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なので、この図にあるSVFからの営業利益は外部の投資家と配当を山分けする前の利益です。ソフトバンクの決算書を確認する際にはここをお間違えなきようご注意くださいませ。

とはいっても相当儲かったソフトバンク。試しに通信事業について見てみましょう。

 

 

・通信事業
 

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まず通信事業ですが、この飽和状態の市場で営業利益が9%増加しています。
 

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もう一つはフリーキャッシュフロー。これも11%増加しています。

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フリーキャッシュフローは飽和している市場では恐らく最も重要な指標の一つです。
具体的には、事業で儲けたお金からその事業に必要な投資の額を引いた差額の事。ここが増加している限りは上手くいっているとみていいでしょう。

 

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スマホの純増数は順調に拡大しているようですが、何より格安スマホが約20%増加。YモバイルやLINE MOBILEの格安キャリアを背景に累計台数を伸ばしてきていることがうかがえます。

また、様々なニーズに対応するために料金プランを一新(といっても、2G以上使う人がスマホを目いっぱい楽しみたい層に振り分けられててどうかと思うんですが…)
 

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ちなみにですが、これらの成果によってか、ソフトバンクは「解約率」が減少中。その結果ライフタイムバリューも増加しています。
 

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通信会社は「2年縛り」という仕組みもあり、解約率が通常とても低いです。ソフトバンクももちろん低いのですが、それでも大手三社の中では圧倒的に解約率は高い部類でした。
 

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これが下がるだけでもLTV、すなわちお客さんがソフトバンクにお金を支払ってくれる総額は圧倒的に高くなるのです。

私は48回払いの「24回払い終わってスマホを下取りすれば、その後のスマホ代はソフトバンク持ち」という施策はこの解約率を下げるためのものではないのかと思っています。

いずれにしても、本業であるソフトバンクの通信事業で安定的な儲けを作ることができているソフトバンクの通信事業は、「格安スマホの投入」「料金支払いプランによる解約率の低下」「ギガモンスター等の通信プランの変更」などの理由により洗練されてきてる印象です。

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とは言え、今までの流れと地続き感のあるこの施策。次に大きな流れがあるとすれば、それは5Gに入った時でしょう。5Gになると、処理できるスピードは大幅に上昇するそう。その時にソフトバンクはSVFで投資している企業と新規事業を創出するとしています。

 

SVFが投資している企業は38社。企業群はバラバラですが、共通しているのは「AI」を使用している事。通信事業が5Gで処理速度が圧倒的に早くなるとすると、そのシナジーのすさまじさは素人目にも凄そうだと分かります。ここまでくるとソフトバンクは尋常でない企業体になっていくでしょうね。

また、国の圧力である通信量の4割カットにも十分対応するような宣言もしています。

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社内のルーチンワークをAI・RPA(Robotic Process Automation)化して通信事業の人員を4割削減することを目指しています。

ここら辺はソフトバンクは得意でしょうね。売上が4割下がっても、人件費などの固定費を4割削減するとトントン(もちろんそんな簡単ではないですが)といったところでしょうか。個人的には、通信事業の発展はSVF次第なのかなといった印象を受けます。ここからどのように発展していくのか注目しましょう。

さて、今回はここまで。ソフトバンクの全体の売上やSVF,ソフトバンクの本体の通信事業などについて見ていきましたがいかがでしたでしょうか。

・ここから何が学べるか

ではでは、あまりにも大きなソフトバンクから、我々は一体何を学ぶことができるのでしょうか。「ソフトバンクが特別だったんだよ。」は確かにそうなのですが、それでも学ぶべきことはあるはずです。

 

私は、ソフトバンクを見ると「自社の定義の仕方」はまずとても重要だと思います。「我々は通信会社だ!」と思っている企業にこのような事ができるでしょうか?

 

また、語弊はあるかもしれませんが、「資本主義社会では会社は商品である」「商品同士のシナジー効果を最大限発揮する為には、この商品を購入することが望ましい」という考え方をすることは非常に重要だと思います。


最終的には他社が真似できないサービスを起こすことができるとするならば、将来この施策は多大なキャッシュを生む可能性があります。

近年ではM&Aによって成し遂げられるこのような施策ですが、ソフトバンクのやり方はもっと緩やかな関係性です。しかし、この緩やかな関係からトップ企業の技術や情報を得ることができることから、「情報の流動化」が起こる可能性があります。少なくとも、その予感はさせてくれます。

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このような判断を行うためには、「明確なビジョンを持っている事」「それを実現するための圧倒的な資金調達力を有すること」の2点が必要です。

 

明確なビジョン構築の為には将来に向けての情報収集が欠かせません。資金調達に向けてはファイナンスの知識が欠かせないでしょう。ソフトバンクの財務を見ていると、このような事を教えてくれるような気がします。

 

では、ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

(SVFの会計処理について詳しくお知りになりたい方はこちらを。出展:
https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/analyst/pdf/2017/investor_20180209_02.pdf