財務諸表は会社の成績表!

儲かっている企業は何が違うのか?足踏みしている企業は何が原因なのか?決算書を基に分析し、優秀なビジネスモデルをご紹介します。

ソフトバンクがなぜ借入ばかりしているのか考えてみた。

今回はお金の流れからソフトバンクの投資の歴史を振り返ってみたいと思います。

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(出典:https://www.roboticsbusinessreview.com/listing/softbank-robotics-corporation/

ソフトバンクは現在確認できるだけでもメイン事業であるソフトバンクの他にスプリント、ヤフー、arm等の事業があります。その内、ソフトバンク以外はM&A等で吸収してきた事業です。

 

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その内、ヤフーやスプリントは大きく育ち、armはまだこれからといった状況ですが、買収できるお金ってそんなにあるものなのでしょうか?

 

スプリントの時もarmの時も、その買収額の多額さから驚きをもって大きく報道されました。今回は、キャッシュ・フロー計算書を複数の要素から見てソフトバンクの投資の歴史について見ていきたいと思います。

 

ソフトバンクの成長の歴史は資金調達の歴史

タイトルの通りのままなのですが、キャッシュ・フロー計算書という「現金がいくら動いたか?」を示す財務諸表のうち、「財務CF」という、お金を借りた額を示す部分の流れを追っていくと、面白いことが分かります。

これは2012年~2018年の今期までの資金調達額(自分で稼いだものではなく、投資家や銀行からの借り入れ、社債などからの調達)をまとめたもの。

 

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とはいってもこのままでは分かりづらいので、スプリント、armを買収したタイミング、SVFを立ち上げたタイミングを計上してみましょう。

このように、買収時期と資金調達のタイミングがぴったりと一致します。

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この時の調達方法は基本的には借入金。Arm買収時などは4兆7925億3千万もの額の長期借入金を調達しています。(返済した差額があるのでトータルではそこまで伸びていませんが)ちなみにスプリントの時は長期借入金1兆9,800億円社債発行収入1兆6652億3200万、SVFの時も同様に長期借入金と社債の発行の合わせ技で資金を調達しています。なぜ増資ではなく銀行からの借り入れがメインなのか?については後程検討したいと思います。

 

・個人で考えればとんでもないほどの投資量

 

ここですごいのは、ソフトバンクのお金が出ていく事を全然恐れないその姿勢ですよね。

こちらは事業で儲けたお金から、買収などでかかったお金を引いた額。スプリント、arm、SVFの資金調達して投資をしている際に、この額が常にマイナスになっています。

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自分自身で置き換えてみると、年収500万なのに2000万の投資を何回も決断できるか?と考えたら分かりやすいでしょうか。

 

こんなレベルの物凄い投資を、ソフトバンクは継続して行っております。そしてソフトバンクは今のところ、この投資には勝ち続けています。SVFも2018年末までに投資した投資先は大幅に株価は上がっているようですしね。

 

とは言え、営業CFから投資CFを引いた額をもう一度見てください。

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物凄いマイナスですよね。Armに至っては2兆円を超えるマイナスになっています。しかもarmはまだスプリントのように収益化を図ることができていません。(すごい会社なんで、期待は充分持てるんですけどね。)

とは言え、もし投資家の方なら、このような莫大な投資を許容できるでしょうか?

 

ここに増資ではなく借入を行った理由があると私は思っています。

 

・借入が多いのは投資家にとってリスクが高いから?

 

投資家は、銀行に比べてどれかの事業が失敗したら大きなリスクを追っているという事が、ソフトバンクが銀行から資金を調達している最大の理由なのではないでしょうか。

 

とは言っても分かりづらいの図示してみます。

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こちらは損益計算書。(ソフトバンクIFRSなので厳密にいうと違うのですが余り気にしないでください)この損益計算書を見ると、銀行より株主の方が大きなリスクを背負っている事が分かります。

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このように、銀行は営業利益の中から利息を支払ってもらいます。この額は契約時に決まっていて、一度契約を結べば業績が悪い時でも支払ってもらえます。

 

転じて株主はどうでしょうか?税引き後の純利益から支払いという形です。という事は、例えばソフトバンクの投資した事業が上手くいかず、どこかで赤字でも計上されようものなら、株主は配当を受け取ることができなくなるのです。

 

しかも、赤字になるとソフトバンクの株価は下落するでしょう。その時にソフトバンクに持たれているのは「借金まみれ」のイメージ。下手をすると株価は急降下し、ソフトバンクにとっても株主にとっても損をする状況に追い込まれます。逆に物凄く事業が上手くいっていても、配当が物凄く増える可能性もあります。

 

これが、銀行であれば赤字であっても物凄く儲けていても、利息の支払いさえしていればOK。ソフトバンクは株価が下落しても銀行から借りたお金が充分にあるので、立て直せる時間を作ることも十分可能でしょう。このような意味で、ソフトバンクは投資のリスクを下げるために借入金という調達方法を選択したのではないかな?と思います。

 

少し理解しづらい話ですし、正解はソフトバンクにしか分からないのですが、財務を考えるうえで少しこのような妄想も可能なのかなと思います。

 

資金調達をする際には、その事業が失敗した時、成功した時のリスクも考慮して財務調達をするのがいいでしょうね。それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました。